下町の酒の基軸 キンミヤ

時はさかのぼること十数年、南大沢という微妙(?)な駅の近くにお花やさんがあった。
まだその当時中学生だか高校生だかだったが、パンチパーマでサングラスをかけてゴールドのネックレスなおじ様がそのお店の主であった。
道端であって凄まれたら、こちらに非がなくとも間違いなく謝るであろう。(失礼)
で、一時南大沢から離れていたのだが、また戻ってきたとき、花屋さんはやきとんとおでんの店へと変わっていた。
気にはなっていたものの、店に入らないまま1, 2年が過ぎたのだが、ある日ふと入ってみる気になって入った。

その店に入ると、お花屋さんのときと同じ人がどうやら店主であるようだった。
メニューはやきとん、おでんがメインであり、ひとまず二人だったのでやきとんを10本適当に頼んだ。
だがこれが大きな間違いであった。
普通の焼き鳥くらいのイメージで頼んだのだが、一本あたりのボリュームはその倍はあったのだ。
やきとんだけで二人ともおなかいっぱいどころの話ではなく、その日は半分涙目になって帰ったのである。

だが、味は大変よく、まもなく二度目の訪問が訪れる。
そこで常連の一人であるK氏に声をかけられ、ホッピーをすすめられた。
「うまいから飲んでみな。白いのがホッピー。黒いのはチャッピー。」
それまでいろいろなお酒を飲んできた。
ビール、日本酒、焼酎、ワイン、カクテル、ジン、ウォッカ、テキーラ、バーボン、ブランデー、スコッチ等々。
そのため、それなりにお酒にはこだわりがあったのだが、ホッピーは今まで飲んだことがない。
そこで飲んでみることにした。
「うまい!」
もちろんお金を出せばそれよりおいしいお酒はあるが、費用対効果で考えれば抜群であった。
そしてそのお店、もへじのおでんも非常においしい。
マスターも見た目と違いとてもいい人で(再び失礼)、常連の人たちにも繰り返し出会うたびに打ち解けていきいい人ばかり、食べ物も飲み物も非常においしく、安く、量もあってすっかりはまってしまった。
以来すっかりその店の常連になってしまったのである。

やがて、2年ほど前のこと、自分は今のところへ引っ越した。
しかし、当然ながらそんなすばらしい店がそうそうあるわけもなく、たまに片道一時間半ほどかけてもへじへ行くこともあったが、すっかり足が遠のいてしまった。
あのやきとんもあのおでんもあのホッピーもあの梅割りもなかなか味わえない環境になってしまった。
そしてあの人々。
まだ一部の人とは携帯の交換などをしていて連絡はとれるものの、最初に話しかけてくれたK氏、彼もその後大変な思いをなされたのであるが、彼と最後に出会えたのはもうだいぶ前になってしまった。

そしてしばらくして、悲しい連絡を受ける。
もへじが閉店改装中だというのだ。
もうたとえ時間をかけてもあの店にいくことはついにできなくなってしまったのである。
しかし落胆もまもなく、新しい報告が入った。
おでんややきとんが残るかどうかはわからないが、改装ののちも同じマスターであるという話だった。
これには大変ほっとした。
そして今はハイボール酒場として営業しているとのことだ。

さて、前置きがだいぶ長くなったが、実はようやく本題に入る。

下町のお酒というといくつかあるのだが、その中で最近個人的によく嗜んでいるのがホッピー。
最近はだいぶ人気がでてきて、いわゆる赤い居酒屋なんかでも取り扱われるようになった。
だが、これがまた適当な店で頼むとまずい。
ホッピーというのはそもそもいうなれば麦ジュースであり、造っているのはもちろんホッピー飲料で、ホッピー自体には差はない。
焼酎にホッピーを注いで飲むのがスタンダードな飲み方なのだが、つまり何が違うかというと、焼酎が違うわけだ。
もへじに通えなくなってから、いくつか店をまわったのだが、あの味にはなかなかたどり着けなかった。
そこでいろいろと調べてみると、どうも「キンミヤ」呼ばれる焼酎がホッピーと非常に相性がいいというところへたどり着いた。
実際に入手して試したのだが、まさしくそれであった。
以来、うちにはキンミヤが常備されることと相成った。

そして、このキンミヤ、梅割りの焼酎としても使われる。
梅割りというと梅酒のようなものを思い浮かべる方も多いだろうが、もへじでいただいたそれはそれとは遠くかけ離れていた。
まず、日本酒をそそぐようなグラスと、その下にこぼれた日本酒を受けるための皿をイメージしてもらいたい。
日本酒を注文したとき、そこに下皿にこぼれる程度に日本酒を注いで出す店はそこそこあるので、知らない人はちょっとやさぐれた感じの店をめぐってみればわかると思う。
で、そこにキンミヤをいっぱいになる程度に注ぐ。
そこに、梅シロップを下皿にこぼれる程度に注ぐ。
これが梅割りである。
梅酒と比べるとだいぶヘビーなのだが、これがまたうまいのだ。

また、ハイボールの焼酎としてもキンミヤは使われる。
ハイボールというと普通はウィスキーを思い浮かべるかもしれないが、これまた焼酎を使うものもある。
そしてやはり、キンミヤがあうのだ。

下町のお酒の基軸といっても過言ではないというキンミヤ。
正式には宮崎本店の亀甲宮焼酎のことを指す。
金色で宮の字が描かれているところから通称キンミヤと呼ばれる。
「好きやねん」というのも実は同じ焼酎で、なぜかキンミヤの2.7Lおよび4Lのペットボトルのものは亀甲宮焼酎じゃなくて金宮「好きやねん」となっている。
理由は知らないが、そろそろキンミヤのストックがなくなるので注文しようと思っているので、ついでに宮崎本店の人に聞いてみようと思っている。
以前、キンミヤを注文したときに、だめもとで備考欄にキンミヤを取り扱ってる店を教えてください、と書いたところ、わざわざ自分の住所周辺でおろしている店をリストアップしてくれて教えていただいた。
ので、今回も期待してみる。

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